「逮捕歴」・米国ビザ申請時の注意について
米国ビザの申請において、過去の「逮捕歴」は申請結果に極めて重大な影響を与えます。日本の法律上の「不起訴」や「起訴猶予」といった処分であっても、米国の移民法の観点からは「逮捕歴」として扱われます。
結論として、たとえ有罪判決を受けておらず、日本の法律上「前科」がつかない「不起訴」や「起訴猶予」といった処分であっても、一度でも逮捕された事実がある場合は、ビザ申請書で「逮捕歴あり」と正直に申告する義務があります。
- 米国移民法の考え方
日本の刑法における時効の成立や恩赦等による刑の消滅といった考え方は、米国ビザの審査には適用されません。
- 虚偽申告の重大なリスク
逮捕歴を隠して「いいえ」と申告することは「虚偽申告(Misrepresentation)」という非常に重い不正行為と見なされます。
近年、日米両政府間で犯罪歴に関する情報共有体制が強化されており、過去の逮捕歴は高確率で米国側に把握されるとお考えください。
虚偽申告が発覚した場合、ビザが却下されるだけでなく、米国への入国が永久に禁止されるという極めて深刻な結果を招く可能性があります。
- 郵送によるビザ更新はできません
すでにビザをお持つの方の郵送更新申請が認められる条件の一つに「逮捕歴がないこと」が明記されています。したがって、不起訴処分であっても逮捕歴をお持ちの場合は郵送申請の対象外となり、必ず大使館・領事館での面接を受ける必要があります。
万が一、刑事事件の裁判が継続中であり、まだ判決が確定していない段階でビザを申請する場合、審査は極めて困難となります。
領事は申請者の適格性を判断するにあたり、法的な結果が確定していることを求めます。
判決が未確定の状態では、犯罪の事実関係やその重大性を評価できないため、多くの場合、
判決が確定するまで審査が保留されるか、ビザ申請そのものが却下されます。
まずはご自身の刑事手続きを完全に終結させ、最終的な判決や処分が確定した後にビザ申請に臨むことが賢明です。
逮捕歴がある方のビザ申請を成功させるためには、正直な申告と入念な準備が不可欠です。
正直な申告
ビザ申請書(DS-160)の逮捕歴に関する質問には、必ず「はい」と回答してください。
面接では、逮捕の事実とそれに関する最終的な処分を証明する、以下の公的書類の提出が求められます。全ての書類には、正確な英訳を添付する必要があります。
・判決謄本: 有罪・無罪に関わらず、裁判が開かれた場合の公式な記録。
・不起訴処分告知書: 検察官が起訴しないと判断した場合に発行される公式書類。
・事件に関する経緯を説明する英文の陳述書
・その他、略式命令や執行猶予判決の証明書など、事案に関連する全ての司法書類。
- 専門家への相談
逮捕歴のある方のビザ申請は、事案の内容や個々の状況によって審査が大きく異なります。ご自身の判断で手続きを進めることは大きなリスクを伴います。申請準備の早い段階で、に相談し、適切な助言を受けることを強く推奨します。