特定技能外国人に関する
「自社支援」のメリットと手続きについて
自社で支援を行うメリット
登録支援機関を利用せず、企業が自ら「特定技能外国人」に対して支援を行う場合、以下のような利点があります。
- 外部委託にかかる費用を削減できる
- 外国人受け入れに関するノウハウを自社に蓄積できる
- 外国人従業員とのコミュニケーションを密に取ることができる
特に、コストの削減効果は非常に大きなメリットです。
登録支援機関に管理を委託した場合、特定技能外国人1名あたり月額2万5千円程度が相場であり、年間では1人あたり約30万円のコストが発生します。
今後、外国人の採用が増加する見込みがある企業にとって、自社で支援を行える体制を整えることで、大幅な経費削減につながります。
自社支援へ切り替える際に必要な主な手続き・書類
自社で支援を行う場合には、「支援体制の変更」として、所定の手続きと関係書類の提出が必要です。以下に主な提出書類とその概要を記載します。
① 支援計画の変更に係る届出書(参考様式第3-2号)
自社での支援開始に伴い、既存の支援計画を変更する必要があります。これに対して、届出書を提出します。
※対象者が複数名いる場合は、「別紙(参考様式第3-2号)」を併せて記入・提出します。
② 新しい支援計画書(参考様式第1-17号)
変更後の支援内容を明確に記載した、新たな支援計画書を提出します。
③ 支援委託契約に係る届出書(参考様式第3-3-2号)
自社支援に切り替えることで、これまでの登録支援機関との契約が終了するため、その旨を報告する届出書を提出します。
※特定技能外国人の対象者が複数いる場合は、「別紙(参考様式第3-3号)」も併せて提出します。
④ 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)
「特定技能所属機関(=受け入れ企業)」としての概要を示す書類です。
⑤ 受け入れ企業の組織図
運用要領上は明記されていませんが、以下の理由から多くのケースで提出が求められています。
- 支援担当者・責任者が、特定技能外国人に対して「業務上の指揮命令権を持たない者」であることを明確にするため。
※組織図は自由形式で簡易なもので問題ありません。
過去の受け入れ実績等に応じて追加提出が必要な書類
(1)中長期在留者の受け入れ・管理実績がある場合
- 受け入れた中長期在留者リスト(参考様式第1-11-2号)
(2)支援責任者・支援担当者が生活相談業務の経験を有する場合
- 生活相談業務を行った中長期在留者リスト(参考様式第1-11-3号)
- 生活相談業務の従事実績とその期間を証明する書類
※「中長期在留者」とは、特定技能外国人を含む、在留資格が3か月を超える外国人を指します。

義務的支援(特定技能制度における全10項目)
- 事前ガイダンスの提供
特定技能外国人との雇用契約締結前に、日本での就労・生活・契約内容などについて母国語等で説明する。 - 出入国時の送迎
入国時:空港等への出迎えと住居までの送迎
出国時(帰国する場合):空港までの送迎 - 適切な住居の確保支援
特定技能外国人の住居の確保に向けた支援(住宅契約時の連帯保証人になる、物件探しの手伝いなど) - 生活に必要な契約支援
特定技能外国人の携帯電話、銀行口座、ライフライン(電気・ガス・水道)などの契約に関する支援 - 生活オリエンテーションの実施
日本でのルールやマナー、緊急時の対応、地域の情報などを特定技能外国人の母国語等で説明 - 日本語学習の支援
日本語教室の紹介や教材の提供、学習機会の提供など - 相談・苦情への対応
労働条件や生活での問題について、特定技能外国人の母国語等で相談できる体制を整える - 日本人との交流促進
地域行事への参加支援や、交流イベントの紹介など - 転職支援(受入れ困難時)
やむを得ず契約終了した場合、別の受入れ機関を探す支援を行う(※受入れ機関が実施困難な場合、登録支援機関が対応) - 定期的な面談と報告
特定技能外国人本人との定期面談を実施し、その状況を記録・報告する
ポイント:
- 登録支援機関に委託すれば、これらを代行してもらえます。
- しかし、自社で支援計画を実施する場合(=自己実施)は、全ての義務的支援を自社で行う責任があります。
- 支援計画に不備があると、在留資格の認定や更新が不許可になる可能性もあります。