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2025/4/21

特定技能外国人受入企業 貨物利用運送事業における定期報告

特定技能外国人受入企業・

貨物利用運送事業における定期報告

 

貨物利用運送事業には、宅建業や建設業のような定期的な免許更新制度はありません。一度許可(第二種)または登録(第一種)を受ければ、有効期限は定められていません。しかし、以下の定期報告が義務付けられています。

  1. 事業概況報告書
    • 内容: 毎事業年度における事業の概況(従業員数、営業収益、営業費用など)を報告するものです。
    • 提出期限: 毎事業年度の経過後100日以内
      • 例:3月末決算の場合、7月上旬までに提出。
  2. 事業実績報告書
    • 内容: 前年4月1日から3月31日までの期間における事業の実績(取り扱い貨物量、走行距離、輸送トン数、交通事故数など)を報告するものです。
    • 提出期限: 毎年7月10日まで

罰則: これらの定期報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合、100万円以下の罰金が科される可能性があります(貨物利用運送事業法第65条)。

貨物利用運送事業における不定期に起こりうる変更届・変更登録

貨物利用運送事業者は、事業計画や登録(許可)事項に変更があった場合、その内容に応じて変更の届出または変更登録の手続きが必要です。

  1. 変更発生から30日以内が期限の変更届(第一種貨物利用運送事業の場合)

以下の事項に変更があった場合は、変更が生じた日から30日以内に国土交通大臣(または地方運輸局長)に届け出る必要があります。

  • 氏名または名称及び住所の変更(法人名、個人事業主の氏名、住所変更など)
  • 法人である場合における代表者の氏名の変更
  • 主たる事務所及び営業所の名称及び所在地の変更(移転、新設、廃止など)
  • 事業の経営上使用する商号の変更
  1. 遅滞なく届け出る変更届(第二種貨物利用運送事業の場合)

第二種貨物利用運送事業においては、上記に加え、以下の事項に変更があった場合、遅滞なく届け出る必要があります。

  • 役員(代表権を有しない役員を含む)の変更
    • 注意点: 代表権を有する役員の変更は「遅滞なく」ですが、代表権を有しない役員や社員の変更については、前年7月1日から6月30日までの期間に係る変更を毎年7月31日までにまとめて届け出ることも認められています。ただし、変更の都度届け出ることも可能です。
  1. 運賃・料金の変更届
  • 内容: 利用運送約款の内容として必要な事項である運賃・料金を変更した場合に届け出るものです。
  • 提出期限: 変更後30日以内
  1. 事業の廃止の届出
  • 内容: 貨物利用運送事業を廃止した場合に届け出るものです。
  • 提出期限: 事業廃止日から30日以内
  1. 事業計画の変更認可申請(第二種貨物利用運送事業の重要な変更)

第二種貨物利用運送事業で、事業計画の根幹に関わる重要な変更(例:事業の範囲の変更、利用する運送機関の種類の変更など)が生じる場合は、単なる届出ではなく、変更の認可申請が必要となる場合があります。 具体的な内容は、変更内容によって異なるため、事前に管轄の運輸局に確認が必要です。

  1. 実運送体制管理簿の作成・保管義務(2025年4月1日改正 貨物自動車運送事業法)
  • 内容: 元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した「実運送体制管理簿」の作成を義務付けるものです。貨物利用運送事業者が元請けとなる場合もこれに該当します。
  • 提出期限: 定期的な提出義務はありませんが、作成・保管が義務付けられています。

まとめと注意点

  • 定期報告の厳守: 貨物利用運送事業は免許の更新が不要な分、年次の事業報告書・実績報告書の提出は非常に重要です。これを怠ると罰則の対象となります。
  • 変更届の期限: 変更内容によって提出期限が「30日以内」または「遅滞なく」と異なるため、注意が必要です。特に代表権のある役員や主たる事務所の変更は速やかに対応する必要があります。
  • 2025年4月1日改正の影響: 貨物利用運送事業法そのものの変更ではありませんが、関連する「貨物自動車運送事業法」の改正により、利用運送委託先への発注内容の適正化や、実運送体制管理簿の作成・保管義務などが強化されています。これらは貨物利用運送事業者の実務に影響を及ぼすため、内容を十分に理解し、対応する必要があります。
  • 添付書類の準備: 各種届出には、登記事項証明書、役員・使用人の住民票や身分証明書、誓約書など、多くの添付書類が必要です。公的書類は有効期限(発行から3ヶ月以内など)があるため、早めに準備することが大切です。
  • 専門家への相談: 貨物利用運送事業の許可・登録や各種届出の手続きは専門知識を要します。不明な点や複雑なケースについては、行政書士などの専門家への相談を強くお勧めします。
  • 最新情報の確認: 法令改正や運用変更が行われることもありますので、常に国土交通省や地方運輸局のウェブサイトなどで最新の情報を確認することが重要です。

これらの報告・届出を適切に行うことで、貨物利用運送事業の適正な運営を維持し、安心して事業を継続することができます。

以上、2025年4月1日の改正は、主に「貨物自動車運送事業法」および「物流効率化法」に関するものであり、貨物利用運送事業法そのものの更新制度や報告義務に変更があったわけではありません。 ただし、関連する法律の改正により、利用運送委託先への適正化などが強化されているため、事業運営において注意が必要です。