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2025/10/25

登録支援援機関による申請取次について【2026.1.1以降】

登録支援援機関による申請取次について

改正行政書士法(2026年1月1日施行)により、登録支援機関が特に注意すべき行動について、手続や注意点をまとめました。

 

1 改正前

2025年までグレーとして行われてきた以下の行動・手続きについては、明確に行政書士法違反となるリスクが高くなります。

分類

行動・手続き

注意点(改正前)

書類作成

受入れ企業や外国人の代わりに、在留資格申請書、雇用契約書、支援計画書などの入管提出書類を作成していた。

報酬を別途受け取っていない、または支援料などに含めていることで、行政書士法違反ではないと解釈されていたケースがあった。

報酬受領

書類作成の実質的な対価として、「申請サポート料」「事務手数料」などの名目で受入れ企業から報酬を受け取っていた。

支援業務と一体のサービスとして提供し、実態としては、書類作成も行っていた。

申請取次

承認を受けて、作成した申請書や添付書類を入管に提出していた(申請取次)。

書類作成と提出を一体の業務として行っていた。

行政書士との連携

登録支援機関が顧客(主に受入れ企業)から書類作成の対価を受け取り、その報酬から行政書士に作業を外注する(仲介)スキームが存在した。

これは行政書士法上の非行政書士による業務代行(行政書士法違反)として問題視される可能性があった。

 

改正後

改正後は、登録支援機関は、「支援業務」に徹し、「行政書士の独占業務」には一切関与しない体制を確立することが必須となります。

分類

行動・手続き

遵守すべき事項・注意点(改正後)

書類作成

一切行わない(完全な撤退)。

報酬の有無、名目の如何にかかわらず、入管提出書類の作成実務から手を引く。外国人に手書きを指示し、実質的な内容を指示・記入する行為も避けるべき。

報酬受領

書類作成を実質的な対価とする報酬を一切受領しない

支援契約書や料金体系を改定し、「支援料には入管申請書類の作成費用は含まない」ことを明記する。

支援業務の限定

外国人への生活支援、相談対応、各種支援計画の実行など、本来の支援業務に集中する

適切な支援先や専門家(行政書士)を紹介・案内することに留める。

申請取次

入管から承認を受けている職員による申請書類の提出(取次)自体は継続可能。

ただし、提出する書類が自社(登録支援機関)で報酬を得て作成されたものであってはならない。書類は受入れ企業(または行政書士)が作成し、その提出を代行する形に限定される。

行政書士との連携

受入れ企業に対し、在留手続きが必要な場合は行政書士と直接契約するよう促す

登録支援機関が行政書士の報酬を仲介・中抜きする行為は明確に禁止されるため、企業と行政書士間の直接契約を徹底させる。

内部教育

社内において、行政書士法改正の内容と、書類作成代行が違法となることを徹底的に周知する。

業務範囲を逸脱しないよう、書類作成に関する質問への対応方法もマニュアル化する。

 

3 登録支援機関が書類作成・提出代行を行えていた背景について

なぜこれまで登録支援機関による入管提出書類の作成・提出代行が実質的に行われてきたのか、その背景と当時の法解釈から2026年1月1日に施行される改正行政書士法は、従来の運用における「曖昧さ」を解消することを主な目的としています。改正前の状況を理解するためには、以下の点が挙げられます。

 

特定技能制度の創設と「支援」の広範な定義

特定技能制度は、2019年(平成31年)に人手不足の解消を目的として創設されました。この制度において、登録支援機関は「支援計画」に基づいて外国人の生活、職業、行政手続きなどを包括的に支援することが求められました。

当時の解釈の余地: この「支援」に、在留資格に関する情報提供や、申請をスムーズにするための準備・補助が含まれるという解釈が広がりやすかった側面があります。

特に、制度発足当初から現在でも、受入れ企業外国人自身入管手続きに不慣れなケースが多く書類作成の実質的な担い手の必要性実務上のニーズとして強く存在しました。

 

・行政書士法における「業として」の曖昧さ

行政書士法は、行政書士でない者が「業として」他人の依頼を受け報酬を得て書類を作成することを禁止しています。

従来の運用

・書類作成の「報酬」について

別途、明確に受領せず、他の支援業務などに手数料などとして含めていた場合、それが書類作成の対価であるかどうかの判断が難しくなるケースがありました。

・「業として」について

登録支援機関の事業の中心は、支援業務であることから、書類作成は付随的な業務であると見なされてきた経緯もありました。

 

・入管法上の「申請取次」との混同

入管法上、特定技能の受入れ企業(の承認を受けた職員)や登録支援機関の職員は、一定の要件を満たせば、申請書類の提出申請人の代わりに行う申請取次)は、認められています。

実務上の誤解

提出ができる」=「書類の作成も行ってよい」という誤解や、作成と提出が一体の業務として捉えられ、「支援業務」の一環として違法性の意識なく行われていた実態がありました。

 

4 2026年改正の意義

今回の改正(行政書士法第19条第1項の改正)は、まさに上記のような「支援」の名の下に報酬を得て行われていた書類作成の実態を捉え、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」行うことを禁止することで、行政書士の独占業務の範囲を明確化し、違法な代行によるトラブルを防止することを目的としています。

この改正により、これまでの実務上の慣習や曖昧な解釈は通用しなくなり、申請人に代わって書類作成の実質的行為は厳しく規制されることとなります。

違法な書類作成代行によるトラブルにより、「登録支援機関」として適正であるか否かを調査される可能性があります。

 

※ 2026年1月の行政書士法改正により、登録支援機関などがこれまで行ってきた書類作成の代行は違法となり、違反すれば法人も罰則の対象となります。

 
 
改正前に万全の準備をお手伝いたします。